この20項目の使い方
共同創業者と決めることは、役割分担や株式だけではありません。この20項目は、共同創業者同士の認識の違いを早い段階で見つけ、決めたことと未決事項を記録するためのチェックリストです。一度で決め切れない項目には期限と担当者を設定してください。
- 各自が先に自分の考えを書き出す
- 回答が違う項目から理由を話す
- 合意内容・未決事項・見直し日を記録する
- 法人化、資金調達、採用など節目ごとに更新する
最初に確認する20項目一覧
まずは各項目を見て、すでに話したこと、まだ話していないこと、専門家へ確認したいことを分けましょう。結論を急がず、意見が違う項目を次の対話の入口にします。
- 解決する課題
- 成功の定義
- 成長方針
- 譲れない価値観
- 担当領域
- 意思決定の方法
- 稼働時間
- 進捗と責任の確認方法
- 報酬
- 費用と立替
- 株式・持分
- 離脱時の持分
- 口座と管理アカウント
- 機密情報
- 知的財産と成果物
- 採用と外部委託
- 対立の解決方法
- 役割・稼働の変更
- 離脱時の引継ぎ
- 事業終了・売却の判断
1〜4|目的と価値観
| 項目 | 話し合う内容 |
|---|---|
| 1. 解決する課題 | 誰の、どの問題を、なぜ自分たちが扱うのか |
| 2. 成功の定義 | 売上、利用者、社会的な変化、事業売却など何を目指すか |
| 3. 成長方針 | 速度、収益性、品質、資金調達の優先順位 |
| 4. 譲れない価値観 | 顧客、仲間、働き方に対して守りたい基準 |
1. どの課題を解決するのか
対象顧客と課題を一文で表し、いま確認できている事実と仮説を分けます。創業者ごとに想定顧客が違うと、開発や営業の優先順位もずれるため、最初に揃えておきます。
2. 何を成功と呼ぶのか
売上規模、利用者数、利益、社会的な成果、事業売却など、目指す状態を言葉と数値で仮置きします。短期と長期を分け、半年後に見直す前提でも構いません。
3. どのような成長を目指すのか
外部資金を入れて速く拡大するのか、売上を作りながら着実に進むのかを話します。資金調達の有無だけでなく、意思決定や持分への影響も含めて考えます。
4. 譲れない価値観は何か
顧客への説明、品質、法令順守、メンバーへの接し方など、売上と衝突しても守る基準を挙げます。抽象語だけでなく、迷いそうな場面を例にして確認します。
5〜8|役割と働き方
| 項目 | 合意の目安 |
|---|---|
| 5. 担当領域 | 主担当と支援担当が分かる |
| 6. 意思決定 | 誰が決め、いつ共同判断するか分かる |
| 7. 稼働時間 | 週の時間、曜日、開始時期が分かる |
| 8. 進捗確認 | 目標、定例、遅れの共有方法が決まっている |
5. 誰が何を担当するのか
共同創業の役割分担では、プロダクト、営業、顧客対応、採用、資金、管理などの主担当を決めます。担当者だけに任せきりにせず、重要情報を共有する範囲も決めてください。
6. 最終的な意思決定者は誰か
領域ごとの決定者と、全員の合意が必要な事項を分けます。意見が割れた場合に追加情報を集める期限や、第三者へ相談する手順も用意します。
7. どれくらい稼働するのか
週の稼働時間、連絡できる時間帯、副業からフルコミットへ移る条件を具体化します。希望ではなく、現在の仕事や生活と両立できる現実的な数字にします。
8. 進捗と責任をどう確認するか
月次目標と週次の行動を分け、遅れや問題をいつ共有するか決めます。監視ではなく、助けが必要な状態を早く見つける仕組みにします。
9〜12|お金と株式
お金と株式は、貢献度の評価だけでなく生活条件や将来の資金調達にも関わります。勢いで数字を決めず、前提と見直し条件を記録します。
9. 報酬をいつ、いくら支払うのか
無報酬期間、生活費を補う最低額、売上や調達後に変更する条件を話します。受け取らない報酬を曖昧な貸し借りとして残さないよう、会計・税務上の扱いも確認します。
10. 費用と立替をどう扱うのか
利用できる予算、事前承認が必要な金額、領収書の保存、精算日を決めます。個人のカードや口座を使う期間は短くし、記録が追える状態を保ちます。
11. 株式・持分をどう考えるのか
初期のアイデアだけでなく、今後の役割、稼働、資金提供、リスクを踏まえて検討します。均等配分が公平とは限らず、差をつければ自動的に合理的になるわけでもありません。理由を説明できることが重要です。
12. 離脱時の持分をどう扱うのか
短期間で離脱した場合や役割を果たせない場合を想定し、段階的な権利確定や買戻しの考え方を検討します。会社法、契約、税務に関わるため、実際の設計は専門家へ相談してください。
13〜16|情報・成果物・運営
13. 口座と管理アカウントを誰が持つのか
銀行、ドメイン、クラウド、SNS、広告、ソースコードなどを個人だけの管理にしないようにします。所有者、管理者、復旧方法、退任時の引継ぎを記録します。
14. 機密情報をどう扱うのか
顧客情報、技術、価格、事業計画について、共有範囲、保存場所、外部へ話す条件を決めます。秘密保持の対象を広く書くだけでなく、実務上どう管理するかまで揃えます。
15. 知的財産と成果物は誰に帰属するのか
参加前から各自が持つ技術・資料と、共同で作る成果を分けます。ソースコード、デザイン、顧客リスト、発明、商標など、事業継続に必要な権利を会社が利用できる状態にします。
16. 採用や外部委託を誰が決めるのか
採用基準、予算、面談担当、契約承認を決めます。創業者ごとに別々の約束をしないよう、候補者へ伝える条件と評価記録を共有します。
17〜20|対立・変更・撤退
対立や離脱を考えることは、失敗を前提にすることではありません。問題が起きたときに事業、顧客、メンバーを守りながら話し合うための準備です。
17. 意見が割れたときにどう解決するのか
判断期限、必要な追加情報、領域責任者、外部の相談相手を決めます。感情が強い状態で結論を急がず、論点と事実を分けて記録する方法も決めておきます。
18. 役割や稼働を変更するときはどうするか
健康、家庭、本業、事業状況によって当初の稼働が難しくなることがあります。共有期限、代替担当、報酬や権限を見直す手順を決めます。
19. 離脱するときに何を引き継ぐのか
顧客対応、契約、データ、アカウント、制作物、貸与物を一覧化し、引継ぎ期間を決めます。離脱後の機密保持や対外発表についても確認します。
20. 事業を終了・売却するときにどう決めるのか
継続判断を見直す時期、終了を検討する条件、残った資産や債務への対応を話します。売却提案を受けた場合に誰がどの情報を確認し、どの範囲で合意するかも整理します。
共同創業の契約へ落とし込む
共同創業の契約は、初回の話し合いだけで完成させるものではありません。各項目について、合意内容、未決事項、担当者、決定期限、次回の見直し日を一つの表へまとめます。合意書や株主間契約などへ進む前でも、議事録があるだけで認識のずれを減らせます。
| 記録欄 | 記入例 |
|---|---|
| 合意内容 | 営業はA、プロダクトはBが最終判断する |
| 未決事項 | 法人化後の報酬額 |
| 担当・期限 | Bが資金計画を作り、翌月15日に決定 |
| 見直し日 | 3か月後の月次会議 |
| 段階 | 残しておくもの |
|---|---|
| 面談・検討中 | 各自の回答、意見が違う点、次回話す論点 |
| 試運転中 | 役割、稼働、費用負担、成果物の扱いを記した議事録 |
| 共同創業を決定 | 報酬、株式、意思決定、離脱条件などの合意書 |
| 法人化・資金調達時 | 定款、株主間契約、知的財産や雇用に関する契約 |
